原料や製法、そして味や香り、色合い……。職人がこだわり抜いてつくる個性豊かなクラフトビール。醸造所は年々増え、その数は全国で900を超える。静岡県もクラフトビール造りが盛んで、7割近くの醸造所が集まる県東部は、職人をめざす若者たちの「聖地」になっている。なぜ県東部なのか。その秘密を探った。
日本ビアジャーナリスト協会によると、クラフトビールの醸造所数は全国で905カ所(2025年4月1日現在)。東京都112、神奈川県65、北海道46と続き、静岡県は35カ所、全国6位の醸造所数を誇る。特に県東部には24カ所が集まる。
1994年の酒税法改正で、ビールの製造免許を取得するのに必要な年間最低製造量が2千キロリットルから60キロリットルに引き下げられた。小規模な醸造ができるようになり、多様なビールがつくられるように。いったんブームは下火になったが、2000年代になって再び醸造所数が増加。17年に290カ所だった醸造所数が近年は年間100カ所前後増え、「クラフトビール戦国時代」の様相を呈している。
官民の思惑一致
こうした状況に着目したのが…