調布飛行場を眼下に望む高台に、戦争遺構が残る保育園がある。園では毎年、幼い子どもたちに平和の大切さを語りかけている。「自分で考えて、行動できる人になってほしい」という思いを込めて。

 カラフルな遊具が置かれ、ユズやミカンの木が青々と茂る園庭には、高射砲の台座跡がある。三鷹市の保育園「椎(しい)の実子供の家」。戦時中、米戦闘機を地上から砲撃するために設置された。

高射砲台座跡を囲むように園舎が建てられている=2025年8月7日午後0時38分、東京都三鷹市大沢4丁目、石川瀬里撮影

 直径3メートルほどのコンクリート製。段差を生かして花を植えたプランターを置いたり、こいのぼりを立てる台にしたりと、園になじみながら、その姿を守り続けてきた。数年前の園舎改築の際も、台座跡を中心に設計を依頼した。

「忘れないために」陣地跡地を私費で購入

 1943年9月、陸軍の戦闘部隊がいた調布飛行場や周辺の軍需工場を守るため、高射砲6門を構えた陣地が設営された。園内には今も4門の台座跡が残っている。

「椎の実子供の家」にある高射砲台座跡=2025年7月21日午後0時23分、東京都三鷹市大沢4丁目、石川瀬里撮影

 戦後、三鷹市長だった故・鈴…

共有
Exit mobile version