連載 混迷を歩く アメリカ大統領選2024:偽情報・誤情報編②

ペロシ元米下院議長の夫をハンマーで殴ったとして有罪判決を受けたデビッド・デパプ被告=AP

 男はネット上の陰謀論にはまり、「民主党の腐敗した悪のリーダー」に罰を与えようと、ハンマーを持って襲撃に向かった。

 デビッド・デパプ被告(44)。米下院議長だったナンシー・ペロシ氏の自宅を襲い、夫のポール・ペロシ氏に重傷を負わせた人物だ。

 今年5月、米サンフランシスコの法廷で被告は禁錮30年の有罪判決を受けた。オレンジ色のスウェット姿で、女性の弁護士に肩をさすられて涙を流した。

 「冷静な判断ができていませんでした。ひどく後悔しています。二度とあのような暴力行為はしません」と消え入りそうな声で言った。

 なぜ彼は、陰謀論の世界に引き込まれてしまったのか――。

【連載初回はこちら】

ネット上で真偽不明の情報が拡散され、それが現実世界に大きな影響を及ぼす。その背景には、政治的な思惑も交差する――。「フェイク大国」となった米国の大統領選で、何が起きているのか。連載の2回目は、陰謀論に染まって暴力事件を引き起こした男の事例から。

安倍・トランプ会談の報道を見て…

 記者が傍聴した裁判で、被告は意外な理由を明かした。

 「YouTubeのコメント…

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