Smiley face
写真・図版
車座になって対話する受刑者ら(画像の一部を加工しています)=2024年11月、札幌市東区の札幌刑務所、新谷千布美撮影

現場へ! 刑務所の「IPPO」(4)

 北海道浦河町には、精神障害などさまざまな障害がある人たちの地域活動拠点「浦河べてるの家」がある。

 訪問看護・介護サービスの他、住まいと働く場を提供している。精神的な症状をケアしながら、商品を作り売る。約60人がグループホームに暮らし、近くの家から通う人も多い。100人以上の生活の場となっている。

 特徴は「当事者研究」という対話実践だ。仲間同士で幻聴や妄想の体験を語り合い、自分の障害や疾患を自分で研究する。

 「医師の説明」として理解するのではなく、人によって違う症状を知り、自分なりの法則や付き合い方を考える。

 開かれた「対話」の空間をつくるアプローチは、「オープンダイアローグ」と呼ばれる手法とも共通している。他人を尊重し、自分も尊重される体験が回復につながるとして、国内外で広がっている。

 運営する社会福祉法人の向谷地生良(むかいやちいくよし)理事長は「主体的に生きるすべを模索する方法」と言う。

 札幌刑務所が進める精神障害のある受刑者のための専門プログラムでも、この手法が取り入れられている。

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 2024年11月中旬、4人の受刑者と刑務所のスタッフが「お金の使い方」をめぐって車座で語り合っていた。

 ホワイトボードに受刑者のお…

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