宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、小惑星探査機「はやぶさ2」が、機体の安全を確保する「セーフホールドモード」になっていた原因を調査した結果、姿勢制御に用いるリアクションホイール4台のうち1台の回転が止まっていたことが判明したと発表した。
リアクションホイールとは、モーターで円盤を回転させて姿勢を制御する装置。初代「はやぶさ」でも小惑星「イトカワ」へ接近中に3台のうち2台が故障したため、はやぶさ2ではトラブル回避のため4台搭載している。
現在、リアクションホイールは4台とも再び使用できる状態だと確認されていて、再起動し立て直しているところだという。5月中には姿勢を立て直し、メインのエンジンであるイオンエンジンの運用を開始する予定としている。
JAXAによると、セーフホールドモードは機体に異常が起こった際、安全に最低限の運用を継続するための制御モードのことで、運用の「最後のとりで」とされている。3月21日の受信データで判明していた。
はやぶさ2は、2020年に小惑星「リュウグウ」の砂が入ったカプセルを地球へ届けた後、新たな目的地の小惑星「1998KY26」に向けて旅を続けていて、31年に到着する予定。その途中の26年には別の小惑星にも立ち寄る予定で、ロケットで打ち上げてからすでに10年以上運用されている。
はやぶさ2の運用チームは公式SNSに「探査機は10年以上使用しており、今後もこのようなことがあるかもしれませんが、大事に運用していきます。引き続き、温かく見守って頂けると幸いです」と投稿した。