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沖縄戦で犠牲になった学徒隊の生徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」に関する自身の発言に関して、取材に応じる自民党の西田昌司参院議員=2025年5月7日午後3時8分、国会内、岩下毅撮影
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 沖縄戦で犠牲になった学徒隊の生徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)について、自民党の西田昌司参院議員が3日、那覇市内で開かれたシンポジウムで、説明内容を「ひどい」「歴史の書き換え」などと講演した。この発言に対し、身内の自民党県連も含めて批判が広がっている。

 シンポジウムは憲法に関するもので、沖縄県神社庁と神道政治連盟県本部、日本会議県本部などが主催、自民党県連が共催した。

 複数の出席者によると、記念講演者として登壇した西田氏は、戦後の歴史教育について「でたらめなことをやってきた」と主張。その上で、「何十年か前」に訪れたというひめゆりの塔について、「今はどうか知りませんけど、ひどい。説明を見てると、要するに日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆりの隊が死ぬことになった。そしてアメリカが入ってきて、沖縄が解放された。そういう文脈で書いている。歴史を書き換えられると、こういうことになっちゃう」などと発言した。

 さらに、「沖縄の場合、地上戦の解釈を含めてかなりむちゃくちゃな教育のされかたをしている。自分たちが納得できる歴史を作らないと」とも続けた。

 西田氏は朝日新聞の4日の取材に対し、発言内容を認めた上で、ひめゆりの展示や説明のどこが歴史の書き換えなのかについては具体的に答えず、「何十年か前に見に行った。(展示内容の)一つひとつを見ていくと、私にとってはそういう印象だった」と述べた。

 西田氏の講演内容について、玉城デニー沖縄県知事は7日、報道陣に「認識錯誤も甚だしい」と語った。

 自民党県連の座波一幹事長も7日、報道陣に「大変残念に思っている。県民の反発を招くような表現は避けるべきだったと抗議せざるを得ない」と述べ、発言の撤回を求める考えを示した。

 ひめゆりの塔は、80年前の沖縄戦で犠牲になった沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の生徒と教師ら計227人を悼んだ慰霊碑。犠牲者が多かった自然洞窟(ガマ)の上に建てられ、1989年開館のひめゆり平和祈念資料館も隣接している。

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