自然科学分野で優れた業績を上げた女性科学者をたたえる第45回猿橋賞に、名古屋大学教授の上川内(かみこうち)あづささん(50)が選ばれた。昆虫の聴覚に関する情報処理が専門で、主催の「女性科学者に明るい未来をの会」(中西友子会長)は「動物種を超えた聴覚情報処理の原理の理解につながる」と評価した。
研究者になる前、さえずる鳥が何を言っているのか知りたいと思っていたという。動物のコミュニケーションへの興味は、ヒトを含め様々な生き物が「音」の情報をどう受け取り、価値づけるのかという研究で花開いた。鳥やヒトよりずっと小さく、シンプルな昆虫の脳が、高いレベルで効率的に情報を処理していることを次々と明らかにした。
研究分野は幅広い。ショウジョウバエは羽音の「求愛歌」をどう聞き分けているのか、聞く経験によって行動は変わるのか、それはどんな神経の回路でなりたっているのか。すべて聴覚にかかわる内容ではあるが、音を受け取る細胞から脳内で作用する神経、行動、進化などの分野にまたがり、解明に必要な手法も違う。
次の疑問へ「踏み出さざるを得ない」
「神経細胞がどういうときに…