ふるさと納税で地元産とうたった返礼品に地元以外の産品が混在した疑いのある自治体が長野県内で相次いだ問題をめぐり、長野県の阿部守一知事は25日の記者会見で「簡素でわかりやすい制度にしていくことが本来は望ましい」と語った。一連の問題は、国の複雑な制度設計にも原因があるという見方を示したものだ。
阿部知事は「制度が肥大化し、返礼品競争が起きている。(大手サイトへの委託料など)介在する業者への手数料も膨大になっている。(税制度は)本来は行政と納税者が直接向き合うのが基本。それがずれてしまっているように思う」と現状に苦言を呈した。
- ふるさと納税返礼の農産物、新たに6市町村で産地が混在した疑い
一方で「応援したい自治体を応援できる仕組みは望ましい」と述べ、ふるさと納税の目的自体は評価。そのうえで「我々自身も考えていくべきだ」と語り、「ふるさと納税イコール返礼品ではない」として、長野県が直営するふるさと納税サイト「ガチなが」をアピールした。同サイトは原則返礼品なしで、長野県の「県鳥」であるライチョウの保護費やフリースクールの運営費などを募っている。
長野県内では今年3月に須坂市で県外産のシャインマスカットを返礼品にしていたことが発覚した。その後、県がおこなった調査では長野市や上田市など6市町村の返礼品で、自治体内の産品と国に申請したのに近隣自治体の産品が混在していた疑いが判明。県はその原因の多くは自治体職員の「制度への認識不足やケアレスミス」だったとみている。