今月上旬、本州北端・下北半島の青森県むつ市。津軽海峡を望む高台から、4重の柵で囲われた白地の建屋が見えた。
使用済み核燃料の中間貯蔵施設「リサイクル燃料備蓄センター」。東京電力と日本原子力発電の原発から出た核燃料を一時保管するため、昨年11月に国内で初めて事業を始めた。
施設の運営会社の担当者は「安全な貯蔵管理にしっかりと取り組んでいく」と話した。
山口県内では、上関町で同様の施設を建設する中国電力と関西電力の計画がある。中国電が建設に向け「立地可能性調査」を行っている。
むつ市が、東電に立地可能性調査を依頼したのは2000年。上関町にとって、むつ市は「先例」にあたる。
四半世紀前、むつ市は財政難に陥っていた。六ケ所村の核燃施設や東通原発などの隣接自治体として国から交付金を受け取ってきたが、基幹産業が低迷する市の人口は減少の一途。地元の総合病院は経営が傾き、市財政の重荷となっていた。
財政難のまちの「起爆剤」に
「振興策は原発産業の一択し…