行方史郎・論説委員

 「低レベル」というくらいだから、原発の敷地の地下に埋めればよい、と漠然と思っていた。考えが甘かった。原子炉の解体などに伴って発生する放射性廃棄物「L1」のことである。

 「原発の廃炉 廃棄物の現実直視せよ」と題した社説(5月7日配信)を書いた。

 L1は、廃炉に伴う廃棄物全体からすれば、ごく一部に過ぎない。とはいえ、半減期が数百年を超えるような放射性物質の濃度が高く、数万年を超えて人体に影響する恐れがある。

 そのため原子力規制委員会が3年前、70メートル以深の地下に埋め、300~400年間管理するという規制基準を定めた。断層や火山、地下資源など避けるべき条件もある。

 各地の原発で発生するL1を、まとめて1カ所で処分することも選択肢の一つとして、電力各社でつくる電気事業連合会が検討を続けている。

「ドラム缶75万本相当」を埋設

 原発の使用済み燃料から出る「高レベル」の放射性廃棄物については現在、北海道と佐賀県の三つの自治体で、3段階のステップの最初に当たる文献調査が実施されている。地元の同意がないと次の段階には進めない。調査だけで20年程度を見込む。

 「高レベル」の規制基準は今後定められることになるが、300メートル以深に埋める計画がすでにあり、事業主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO)と経済産業省が各地で説明会を開いている。L1についても「ほぼ同じような調査が必要になる」という言葉を規制委の担当者から聞いたときには正直、がくぜんとした。

 規制基準の検討が始まった2…

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