がんで休職中の小学校の先生が6月、鹿児島県出水市の音楽ライブに臨む。700人が集まった「奇跡」のライブから2年。今年3月には余命宣告された時期を超えた。「生かされて生きている」ことに感謝してギターを弾く。

愛用のギターを抱える高島芳倫さん=2025年5月16日午後3時15分、鹿児島市、宮田富士男撮影

「まっちょとゆかいな仲間たち 奇跡を座らせるライブ」は6月8日午後1時半、出水市のマルマエホール出水で。入場無料。問い合わせは井川さん(0996・62・5508)。

 20日夜。「たかしまっちょ」こと高島芳倫(よしのり)さん(51)=鹿児島市=が、ライブの打ち合わせに姿を見せた。肌の血色は良く、声にも張りがあった。

 「腫瘍(しゅよう)マーカー以外の値は、正常でした」

 直近の検査結果をこう報告して、実行委員会のメンバー5人を喜ばせると、「ライブではちょっと病人らしくした方がいいかな」とも。ただ、抗がん剤が効かなくなり、治療は終えたといい、今後は緩和ケアを行うという。

 高島さんは宮崎県出身で、絵を学びたいと鹿児島大教育学部に進んだ。大学卒業時、翌年に新設される大学院に進むため1年間、浪人生活を送ることにした。絵の具代を稼ごうと始めたのが、鹿児島市の繁華街での路上ライブだった。ギターを買って半月の練習だけで臨み、「へたくそ」とやじられた。そのやじも、「自分の絵が評価されるようになるなかで、自分が増長しないように恥をかくため」だったという。

鹿児島大大学院時代の高島芳倫さん(左)=本人提供

 うまくなるに連れて投げ銭が増えた。そんなとき、近くで路上ライブをしている人から「一緒にやらないか」と誘われた。その人が本気でプロをめざしていることを知り、「中途半端な自分が邪魔をしてはいけない」と路上ライブをやめた。

余命2年の宣告 今は「生かされているから、生きている」

 大学4年次にはラグビーで全…

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