パレットの傷やへこみも念入りにチェックする=千葉県成田市、大野洋介撮影

 飛行機出発までの限られた時間で効率よく積まなければいけない航空貨物。技を競う国際大会もある。その優勝経験もあるJALカーゴハンドリング運送部専任係長の丸山和貴さん(38)の「凄腕」の秘密に迫った。

 丸山さんは、成田空港に集まった荷物を規定の大きさの貨物としてまとめ、飛行機に載せる作業の現場に立つ。ヘリコプターから動物、美術品、医薬品……。新型コロナウイルス感染症が広がったときにはワクチンも運んだ。

 時間との闘いだ。大きさも重さも形も様々な荷物を効率よく積みこみ、安全に運ぶため、「パレット」と呼ばれる板の上に荷物をひとまとめに積み付ける。離陸70分前までには、飛行機のそばに運ぶ。

 飛行機の機体は円形に湾曲している。パレットにはこの湾曲に合わせて荷物を組み合わせ、積み上げる。限られたスペースにより多くの荷物を素早く積み付けられるかの技術が問われる。

 作業はまずパレットを台車に載せ、荷物を包むための厚手のビニールを敷く。フォークリフトの前に2本延びたフォークに荷物を載せ、パレットに積んでいく。フォークの長さは普通より長めの約2メートルだ。長いほどフォークは扱いにくいが、パレットのへりに合わせてぴたりと荷物を置く。積んだ荷物どうしも隙間がなく、無駄がない。JALカーゴハンドリング運送部未来戦略推進グループの恩田建志グループ長によると「効率よく積めると荷物に触る回数が減り、荷物にダメージを与えるリスクも減る」。中でも丸山さんを「丁寧で速く多く積める人」と評する。

 取材した日は、夕方発の海外…

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