自然派ワインの産地化プロジェクトを進める一般社団法人「ちもり」のメンバー。右が六本木ユウジ理事長。左手前が柳栄一さん=4日、沼田市西倉内町
  • 写真・図版

 群馬県沼田市の起業家を育てる取り組み「ぬまた起業塾」の卒塾生らが地域づくりの一般社団法人を設立し、プロジェクトの一つとして「群馬自然派ワイン研究会」を立ち上げた。この春にも利根沼田地域でワイン用のヤマブドウの栽培を始め、自然派ワインをつくっていく。

 この一般社団法人は、昨年8月に設立された沼田市の「ちもり」。ぬまた起業塾の卒塾生有志のネットワークを母体に地域の金融機関の職員らも加わって発足し、2016年度塾生の六本木ユウジさん(44)が理事長を務めている。

 注目したのは山だ。

 群馬県の森林の割合は67%、利根沼田地域では86%(22年度)と山地が多い。ただ、1982年度に県全体で約1800人だった林業従事者は半数以下となり、持続可能な森林づくりが難しくなってきている。そこで、ちもりは「山によって人が育まれ、人によって山が育まれる」という「山育」をコンセプトに、市内でフォーラムを催すなど取り組みを進めてきた。

 自然派ワイン研究会は、その山を生かし、豊かな食文化をつくっていくプロジェクトとして3月に発足させた。ちもり会員の柳栄一さん(64)が代表となり、自然派ワインの醸造家として世界的に知られる大岡弘武さんと、岡山県のブドウ育種家・林慎悟さんが顧問についた。

 栽培するのは、林さんが岡山でつくった品種「龍王」と「りざん」。日本のヤマブドウを主体に品種改良してつくったもので、病気に強いという。有機農法で栽培し、今後ワインにするときも添加物をいっさい使わない。現在、利根沼田地域の中で適地を探しており、5月下旬から6月の間に試験植えをする予定だ。

 柳さんは「今後、利根沼田産の新たな品種を開発し、自然派ワインの原料となるブドウの産地化を進めていきたい」と話している。(大塚晶)

共有
Exit mobile version