【動画】1200人が列…名古屋でも政府備蓄米を先行販売=川西めいこ、鎌形祐花撮影

イオン熱田店で政府備蓄米の販売があった=2025年6月2日午前8時9分、名古屋市熱田区、鎌形祐花撮影

 5キロ2千円のコメが名古屋にも――。政府が随意契約で売り渡した備蓄米の先行販売が2日、名古屋市熱田区のイオン熱田店であった。店の前には午前8時の開店前から約1200人が並び、用意した約4千袋は3時間ほどで完売。今後、他のスーパーなどでも順次販売される見込みだ。

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 この日販売されたのは5キロ2138円(税込み)の古古米約4200袋。より多くの人に購入してもらえるよう、1家族1点までとした。

 売り場に訪れた愛知県一宮市の会社員浅井健治さん(49)は始発電車で来店し、午前6時前から並んだという。3人暮らしで高校生の息子がおり、コメ中心だった食事にパンやパスタも取り入れるようになった。「息子は運動部でよく食べる。1日4合でも足りないくらいで、5キロだと1週間持たない」。政府にはコメに限らず、他の食品の価格を下げる手立ても講じてほしいという。

 設備工事の会社を経営する熱田区の男性(45)は、会社で働く技能実習生らに配るという。「賃金は上げたが、物価高騰に追いつかない。昨年の後半ごろからお米が買えないと相談を受けていた。食費だけでなく光熱費なども上がっている」と話す。

 安定した価格のお米を販売してほしいとの切実な声は、イオンにも数多く寄せられているという。イオンリテール中部カンパニー・石河康明支社長は、東海地方のコメの供給状況が逼迫(ひっぱく)しているとし「備蓄米の提供など私たちのできることをやっていきたい」と話す。イオン全体で随意契約した2万トンの備蓄米をどう配分するかは未定だが、今後、東海3県を含む他の店舗でも順次販売する方針だ。

 備蓄米の放出により、政府は高止まりした米の価格が落ち着くことを狙う。ただ、広報担当者は「物価高にあえぐ米農家の事情も考慮するとすぐに値下げは難しく、価格がどうなっていくかは見通せない」とする。

他のスーパーなどでも順次販売

 備蓄米の販売は今後、他の東海地方のスーパーなどでも始まる見通しだ。「ユニー」(愛知県稲沢市)を傘下に持つパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは関東圏で先行販売し、9日以降、全国のドン・キホーテやスーパー「アピタ」「ピアゴ」などに順次販売店舗を拡大する予定。買い付けた1万5千トン(300万袋分)のうち150万袋以上を今月中に全国の店舗に行き渡らせる計画だ。

 東海地方を中心にスーパーなどを出店するバローホールディングス(岐阜県多治見市)も450トンを買い付け「なるべく早く販売したい」。ただ、精米や袋詰めなどの態勢は整えたものの、備蓄米そのものがいつごろ同社に届くかが見通せず、販売時期は不明としている。

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