「もしこの絵を持って帰れたら、どんなふうに飾ろうか」――。美術館でそんな妄想をしたことがある人は、きっと少なくないはず。東京・京橋のアーティゾン美術館で開かれている「空間と作品」展は、そんな想像を疑似体験できるぜいたくな展覧会だ。同時に、同じ作品でも展示の仕方で全く見え方が違ってくるということも肌身に感じられる。
展示されているのは美術館を運営する石橋財団のコレクションで、おなじみの作品も多い。
パブロ・ピカソの油彩画「腕を組んですわるサルタンバンク」も、これまで何度も展示されてきた。しかし今回は「持ち主」に焦点を当てている。
この絵はかつて、世界的ピアニストのウラジーミル・ホロビッツが所蔵していたものだった。
絵が飾られた自宅の居間で…