3月に行われたロシア大統領選は、プーチン大統領が87%の得票率で圧勝した。「終身大統領」としての地位をほぼ確実にしたとも言えるが、盤石に見える体制の裏側では、政権への不満や社会の閉塞(へいそく)感が色濃く漂っている。
- 「安定か民主主義なら前者を」 盤石のプーチン体制、沈黙する市民
大統領選の初日、モスクワの投票所に入って驚いた。投票箱が透明のプラスチックで、しかも投票用紙の多くが折られておらず、誰に投票したのか丸見えだったからだ。
自らを「ロックスター」と名乗るアレクサンドルさん(59)は、プーチン氏に印をつけた投票用紙を自分の顔と並べてスマホで撮影し、投票箱に入れた。「投票したとブログに投稿したかった。私は愛国者なんだ」
今回の選挙は、事前にプーチン氏当選という結果が出るのが明らかだった。緊張感に欠け、投票先を誰かに隠す必要もない、ロシア社会の空気を如実に表していた。
「ロシアは君主制であるべき」
近くの公園で散歩をしていた…