手前右からジャケットにオコジョの毛皮を使ったルイ・ヴィトンのアンサンブル、1900年ごろのダチョウの羽根飾りつきのイブニング・コート

 「私」はなぜ、その服を着るのか――。京都国立近代美術館で開催中の「LOVEファッション―私を着がえるとき」は、装うことと切っても切れない願望や執着を浮き彫りにする。

毛皮と髪の毛、人間のさが

 京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する18世紀~現代の衣装や装飾品が、「私」のありようを問う現代アートと競演する今展。2019~20年に京都、熊本、東京を巡回した「ドレス・コード?―着る人たちのゲーム」展に続くファッションとアートのコラボレーションだが、今回はより、個人としての「装う私」の心の動きに着目した展覧会構成となった。

「LOVEファッション―私を着がえるとき」

 京都国立近代美術館で11月24日まで。月曜休館(祝休日は開館し翌火曜休館)。熊本市現代美術館、東京オペラシティアートギャラリーに巡回。

 展示の冒頭では、花柄や羽毛、毛皮を通して、人々が服を通して描いてきた自然への憧れを示す。ルイ・ヴィトンの2004年秋冬コレクションのジャケットは白いオコジョの毛皮をぜいたくに使い、ステラ・マッカートニーが15年に始めたフェイクファーのライン「ファー・フリー・ファー」のコートと好対照をなす。「動物福祉の考え方が広まった一方で、私たちは『もふもふしたい』気持ちを止められない」と、KCIのキュレーター・石関亮(まこと)さん。テディベアを全面に縫い付けたJ・C・ド・カステルバジャックのコートは、そんな人間のさがを皮肉っているようだ。

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