外国人住民向けに「やさしいにほんご」で防災が学べる教材を、大阪市立総合生涯学習センターと神戸学院大が共同開発した。大きな災害や防災教育の経験が少ない外国人にも避難や備えの大切さを学んでもらいたい考えだ。
「6月(がつ)から7月(がつ)は大雨(おおあめ)が降(ふ)ります」
「7月(がつ)から10月(がつ)は台風(たいふう)が多(おお)いです」
今回開発された教材「OSAKA防災タイムアタック!―やさしいにほんごでBOSAI―」の動画の一部だ。平易な日本語による説明で、字幕の漢字にはルビがふられている。
教材は全3コース。いずれも、まず動画をみてから、クイズやふりかえりシートで防災知識をチェックする。動画とクイズは英訳付きだ。
Aコースは「基礎編」で、台風や地震の特徴などを示す。阪神・淡路大震災(1995年)や大阪北部地震(2018年)の映像も流れる。Bコースは「南海トラフ巨大地震が発生!津波編」で、被害想定や身の守り方を紹介。Cコースは「日常の備え編」で、災害時の情報収集や備蓄などの対策を促す。
開発に先立ち、センターが主催する日本語教室などで学ぶ外国人学習者107人に聞き取り調査をした。地震は25人、台風は39人が「経験がない」と回答。災害については47人が学んだことが「ない」と答えた。
開発に携わった神戸学院大の前林清和教授(67)=社会防災学=は「言葉の壁があり、防災知識も不足する外国人住民は災害弱者となる。南海トラフ地震で想定される津波からの避難は時間との勝負にもなるので、どう身を守ればいいのか伝えておかなければならない」と話す。
教材はセンターのサイト(https://osakademanabu.com/bosai/)から利用を申し込め、無料でダウンロードできる。日本語教室や外国人社員を雇用する企業、地域の防災訓練などで活用してもらいたいという。出入国在留管理庁によると、大阪府内には28万5千人余り(23年6月末時点)の外国人住民が暮らしている。(稲垣大志郎)