日本銀行が3月19日の金融政策決定会合で「マイナス金利政策」の解除を決めた。約17年ぶりの利上げで、気になるのが住宅ローン金利への影響だ。多くの人が利用する変動金利ローンにどんな影響があるのか。今後の住宅ローン選びのポイントは何か。住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営するMFSの塩澤崇COO(最高執行責任者)に聞いた。
マイナス金利解除の住宅ローンへの影響は
――日銀がマイナス金利を解除し、政策金利を「マイナス0.1%」から「0~0.1%」に引き上げました。約17年ぶりの利上げです。住宅ローンで多くの人が利用する変動金利も今後は上がるのでしょうか。
「結論から言うと、大幅に上がることはないと考えています。利上げといってもごくわずかな幅ですし、大きく影響することはないでしょう」
「背景には変動金利の構造があります。変動金利には『基準金利』があり、これは主に銀行が企業に貸し出す短期(1年未満)の最優遇金利『短期プライムレート(短プラ)』がもとになります。短プラは現在1.475%で、これに1%を足し合わせたものを基準金利とする銀行が多く、変動金利の基準金利は2.475%です」
「短プラは、2009年1月から15年以上変わっていません。その間、日銀の政策金利は実質ゼロかマイナスという状態でした。マイナス金利解除後も、メガバンクは短プラを据え置く方針を示しました。ですから基準金利も変わらず、変動金利が大幅に上がることはないでしょう」
――現在の変動金利は年0.3%台と過去最低水準です。基準金利とはずいぶん差がありますね。
「実際に適用される金利は、基準金利からさらに一定の引き下げ幅を引いたものです。引き下げ幅はいわば金融機関による金利の『値引き』。15年前は1%程度でしたが、現在は2%超まで広がっています。住宅ローンはメガバンクや地方銀行、ネット銀行が激しく競争しており、基準金利からどれだけ値引きをして低くするかを競い合っています」
「この引き下げ幅は、現在ほぼ限界まで広がっているとみられます。なお、引き下げ幅は借り入れた時に決定され、完済するまで適用されます。ゆえに、すでに借りた人の金利は、基準金利が変わらなければ変わりません」
――その基準金利ですが、今後日銀が追加利上げをすれば上昇しませんか。
「それはあり得ます。過去の…