マルチスポーツを考える
陸上の女子やり投げは、600グラムの細長い物体をどれだけ遠くに飛ばせるかを競う。一見、単純な動きのスポーツだ。
だが、パリ五輪で金メダルをつかんだ北口榛花(26)=JAL=の投てきには、複数の競技から得た様々なエッセンスが凝縮されている。
北口をサポートするSBC東京医療大学の足立和隆・客員教授(解剖学)はこう語る。
「子どもの頃のスポーツの経験が、間違いなくプラスに働いている」
北口は高校からやり投げを始めた。それまでは多くの習い事を掛け持ちしていた。最も長く続けたのが水泳。3歳の頃から始めて、中学時代には全国大会にも出場した。バドミントンは小学生から習い、パリ五輪代表の山口茜(27)=再春館製薬所=とも対戦経験がある。
足立さんによると、2競技はやり投げの上半身の動きとつながっているという。
北口が水泳で得意だったバタ…