今世紀初めにイスラム主義勢力によって破壊されたアフガニスタンの大仏教遺跡バーミヤン。東西2体の大仏も失われたが、その天井を飾っていた大壁画の新たな描き起こし図が公開された。京都市の龍谷大学龍谷ミュージアムで開催中の展覧会で目にすることができる。
険しいヒンドゥークシ山脈の一角に営まれたバーミヤン遺跡は800近くに及ぶ石窟が崖面にうがたれ、7世紀に玄奘三蔵も訪れた仏教美術の白眉(はくび)として知られた。なかでも38メートルと55メートルの東西磨崖仏は威容を誇り、それぞれの頭上には天井画が色鮮やかに描かれていた。
釈迦とされる東大仏の頭上には、なぜか古代イランで崇拝されたゾロアスター教の太陽神ミスラが4頭立ての馬車に乗り、両脇にはギリシャ神話のアテナ女神のような羽を持つ戦士が控える。俵屋宗達の傑作でおなじみの風神像や半人半鳥の姿も。多彩な神々が混在し共存する、東西文明の十字路バーミヤンならではの世界だった。
一方、弥勒説が有力な西大仏…