5月11日夜、大阪府和泉市の中心部から南へ約7キロの山あいにある廃校の体育館。
「ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー」
合図を受けて管楽器、ドラム、ベース、ピアノが一斉に響き出す。
14人の真ん中でトランペットを吹くのは、音楽の教員だった浅海光悦さん(76)。3月に廃校となったこの南横山小学校でも、14年間勤めた。
力強い管楽器の音色に、パーカッションの効果的なリズムが合わさる「A列車で行こう」。エネルギッシュで耳に残るリフが繰り返される「イン・ザ・ムード」。
かなり良くなった。浅海さんは、40代になった教え子たちのジャズに手応えを感じていた。
体育館に掲げられているのは「輝け!南横の宝」「心をひとつに」などと書かれた複数の横断幕。本番の舞台は、18日だ。
めぐってきた万博の大舞台
「ナンヨコ」の卒業生6人が居酒屋に集まったのは、1年余り前のこと。話題は、学校再編で約140年の歴史に幕を下ろす母校の閉校式で何かできないか、だった。
「ジャズバンド、できんかな」。そう切りだした橋本和昌さん(46)は、6年生だった時にみんなで立ったステージを、思い出していた。
1990年に大阪で開かれた「国際花と緑の博覧会」(花博)。その会場で、小学生ジャズビッグバンドとして来場者をわかせた記憶だ。
南横山小では浅海さんが赴任…