多くの木造家屋が倒壊した能登半島地震。自宅や実家の耐震性が不安だけど、どうしたらいいのか――。そう感じている人が一歩を踏み出すヒントになればと、実際に耐震改修を行った人に、決断したきっかけや、費用、工期などをきいた。(稲垣大志郎、石倉徹也、編集委員・佐々木英輔、グラフィック=米沢章憲)
大阪市住之江区の団体職員、森下雅之さん(40)は一昨年、予算の範囲内で耐震化できることを確認した上で、中古住宅を購入した。「買った後になって、地震で家が倒れてしまったら……」と不安だったからだ。
木造2階建ての家は1990年築。95年の阪神・淡路大震災を受け、壁の配置のバランスや、柱・はりなどの接合方法など、00年に強化された現行の耐震基準になる前に建てられていた。
耐震診断の結果、評点は0.288。0.7を下回ると、震度6強から7程度の地震で「倒壊する可能性が高い」とされる。「南海トラフ地震が来ても、逃げ出せる時間的猶予がほしい」との思いで、建築士に相談したところ、家の購入費やリフォーム代に、耐震改修費を含めても予算内でできることがわかり、購入に踏み切った。
改修は、入居後の今年2月。コンクリート製の基礎のひび割れを補修し、8カ所の壁に、板状の耐震パネルやステンレス製の補強材を設置するなどした。約3週間の改修で、評点は1.0を超え、「一応倒壊しない」レベルまで耐震性を引き上げることができた。
住み続けながら改修 自治体から110万円補助金
工事中、一時的に使えない部…