Smiley face

 2025年秋冬シーズンの東京ファッションウィーク(楽天ファッションウィーク東京)が3月17~22日に開かれ、37ブランドが公式参加した。パリ・ファッションウィークの日程が例年より後ろ倒しされた影響で、東京も1週間ずらしての開催。従来は渋谷区中心だったショー会場も都内各地に分散した。

写真・図版
フェティコのフィナーレ

孤独も弱さも、したたかに

 ジェンダーのステレオタイプ、逃れがたい変化、孤独と二面性――。個人のアイデンティティーや人生に向き合うような、物語のあるコレクションが目立つシーズンだった。

 全日程のフィナーレを飾ったのは、タムによるブランド初のランウェーショー。キーアイテムのトレンチコートは、ジッパーを境にジャケットとベルト、スカートの3パーツに分割でき、合わせ方しだいで上品にもカジュアルにも表情を変える。

 デザイナーの玉田達也は、コレクションが表す人物像について「窮屈で不自由な道を、迷いながらも前に進む青年」と説明。全ルックに使われている結び目のないネクタイが、男性性の規範をしれっと受け流すしたたかさを感じさせた。

 昨年、毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞を受けたハルノブムラタ(村田晴信)の今季のテーマは、20世紀初頭の英国人レーシングドライバー、ドロシー・レビット。女性が運転することすら珍しい時代に未知の領域を切りひらいた彼女に「エレガンスの源流みたいなもの」を感じたという。

 モヘア生地にラミネート加工を施し工業油のような光沢を出したコート、青と緑のグラデーションとドレープで車窓を飛び去る景色を表現したドレスなど、動的なエネルギーをデザインに落とし込んだ。

 従来の日常着に加え、新たに…

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