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2025年3月30日、江蘇省蘇州市で開かれた「2025オアシス音楽祭」の会場(左上・右下)=新華社/2022年2月10日、北京冬季五輪のフィギュアスケート会場前に駆けつけた羽生結弦選手のファンたち(左下)=北京、高田正幸撮影。デザイン・郭溢

 中国で広まってきたファン活動の、エネルギーの巨大さを記者が目の当たりにした瞬間がある。

 2014年4月の北京モーターショー、報道陣や関係者しか入場できない「メディアデー」での一幕だ。韓国・現代自動車のイメージキャラクターを務める韓流スターのキム・スヒョンが登場する予定だった。

【前回はこちら】「推し」を負かせた相手に罵声 熱狂「飯圏」、集団批判に電話攻撃も

受験や結婚といった人生の転機や、経済やライフスタイルの変化を、中国の人びとはワンフレーズの漢字で巧みに表現しています。そんな新語・流行語が映し出す、中国社会のいまを読み解きます。

 キム主演のドラマ「星から来たあなた」が、中国で爆発的にヒットしているさなかだった。イベントの時間が近づくと、大勢の女性らが続々と会場に押し寄せてきた。この日には入場できないはずの、キムのファンたちだ。警備員がいったんはブースの入り口をガラス戸で封鎖したが、人の圧力であっという間に突破された。イベントは結局、「危険」とみた公安の指示で中止になった。

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2014年、北京モーターショー会場で、封鎖を試みる警備員を突破して韓流スターが登場予定だったステージへ殺到する中国のファンら。報道陣や関係者だけが入場できる日だったが、SNSなどで情報が一気に広まり、ファンが押し寄せた。韓国のアイドルへの憧れも、中国のファン活動の源流とされる=2014年4月20日、北京、斎藤徳彦撮影

日韓に学んだ形式、ファンの活動に起きた変化

 出演の情報をSNSで前日ま…

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