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丸木舟でサケ漁を行い、儀式の場所に戻ってきたラポロアイヌネイションのメンバーら=2020年9月20日、北海道浦幌町、中沢滋人撮影
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 アイヌ民族が生業としていた地元の川でのサケ漁は先住民族の集団に固有の権利(先住権)か。この点が争われた訴訟の判決が18日、札幌地裁である。アイヌ民族を先住民族と位置づけたアイヌ施策推進法が2019年に施行されたが、その権利は明記されなかった。原告のアイヌ団体は、先住権をめぐる初の司法判断に期待を寄せる。(上保晃平)

 アイヌとは、アイヌ語で「人間」を意味する。北海道や千島列島、樺太などで暮らしてきた。漁労や狩猟、採集を生業とし、独自の文化を形成。周辺の民族と盛んに交易していた。

 だが、明治政府が「北海道開拓」を進めると状況は一変。土地や生活手段を奪われ、川でのサケ漁も禁止された。1899年には「北海道旧土人保護法」が制定され、同化政策が制度化された。

 1960年代、世界各地でマイノリティーの権利保護を求める運動が広がると、アイヌ民族からも声が上がった。80年代からは差別の絶滅や経済的自立を盛り込んだ「アイヌ新法」の制定に向け、政治への働きかけが本格化した。ただ、86年に中曽根康弘首相(当時)が「日本は単一民族」と発言。アイヌ民族の存在を無視するような言動は繰り返された。

 風穴を開けたのは、司法の判断だった。アイヌ民族にとって重要な土地が二風谷(にぶたに)ダムの建設で奪われたとして、地権者2人が土地収用の取り消しを求めた訴訟の判決で、札幌地裁は97年、アイヌ民族を先住民族と認める初判断を示した。

「先住民族」と認められたが… 

 判決は「民族固有の文化を享…

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