日本弁護士連合会(日弁連)が主催するシンポジウムが19日、札幌市中央区の札幌弁護士会館であり、市川守弘弁護士(旭川弁護士会)らがアイヌ民族の集団に固有の権利(先住権)や「政府から独立した人権機関」を設置する必要性について話し合った。
市川弁護士は、北海道浦幌町のアイヌ団体が地元の川でのサケ漁業権を求めている先住権訴訟で、原告弁護団長を務めている。
18日にあった札幌地裁判決は、アイヌ民族の文化享有権を認め、サケ漁は最大限尊重されるべきだが、排他的な漁業権を認める法的根拠はないとして、請求を退けた。
市川弁護士は基調講演などで、アイヌ民族の先住権について改めて説明。アイヌ民族が各地の集団(コタン)ごとに漁労や狩猟などを行っていた歴史を踏まえて、「各集団は土地や自然資源に対する権利を持っていた」とし、そのような固有の権利を「明治政府の侵略によって奪われた」と指摘した。
市川弁護士は、「アイヌ個人は和人と平等な権利を持っている」としつつ、「集団としての権利を認めないのが政府の基本姿勢だ」と主張した。
その上で、「アイヌ民族には和人とは異なる権利があると認めた上で、地位の平等を実現することがいま問われている」として、判決が集団の権利を否定しなかった点を評価した。
判決は原告側が主張する経済…