「アイヌ民族に関する研究倫理指針」の最終案について説明する検討委員会の加藤博文座長(左)ら
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 北海道アイヌ協会や日本人類学会など4学協会は13日、「アイヌ民族に関する研究倫理指針」の最終案を、アイヌ民族と琉球民族でつくる団体の集会で示した。集会は札幌市北区で開かれ、約90人が参加した。

 アイヌ研究をめぐっては、和人研究者らがアイヌ民族の墓から遺骨を収集した問題があり、「盗掘同然の方法だった」との批判も強い。

 最終案では、これまでの研究資料の収集過程や保管・管理状態に「アイヌから見て適切とは言えない取り扱いが少なからず見られた」と認めた上で、盗掘や遺族の同意を得ずに収集された資料は「研究に用いるべきではない」としている。

 集会では指針案の再考を求める声も上がった。集会を呼びかけた平取町の木村二三夫さん(75)は「研究には関心があるが、まずは盗んだ遺骨をあるべき形に戻して謝罪するべきだ」と指摘。「道アイヌ協会に属さない大多数の意見を聞かずに、指針をまとめることに怒りを覚える」と話した。

 他の参加者からは「アイヌ民族には研究されない自由があり、過去の清算もなしに勝手に決めないでほしい」「アイヌを研究対象ではなく、対等なパートナーとしてほしい」といった意見が挙がった。

 指針を検討する委員会で座長を務める加藤博文・北海道大学教授(日本考古学協会)は「今後の研究に指針は必要。多様な意見をどのように指針に取り込めるか考えていきたい」と話した。(上保晃平)

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