高知県内のお祭りやイベントで、来場者の間近で楽しそうにアコーディオンを奏でるゲストをよく見かける。高知市の坂野志麻さん(49)。豪華客船で演奏したこともあるそうだ。アコーディオン奏者になったいきさつと醍醐(だいご)味を聞いた。
――アコーディオンとの出会いは
幼少期に始めたピアノで武蔵野音楽大学(東京)を卒業しましたが、人前で弾くのが苦手でした。すばらしい演奏を期待されるのが重圧でした。東京で楽譜を浄書する会社員になりました。
ピアノは大学の門下生が集まる発表会で2年に1度、弾く程度。その発表会が苦痛で、10分の曲を1年半練習するのだけれど本番が怖い。ご飯も食べられず、体に悪い。ソロ演奏は20代の終わりにやめました。
30歳の頃、高齢者施設でピアノを弾くのもいいなと思い、ヘルパー2級の資格を取ったんです。でも研修先の施設にはピアノがなかった。都内で電車やバスを乗り継ぎながら持ち運べる楽器を探し、たどりついたのがアコーディオンでした。
――演奏はどう身につけたのですか
最初は教則本を買っての独学…