記者会見に臨む石破茂首相=2024年10月11日午後4時30分、ビエンチャン、内田光撮影

 15日公示の衆院選は、日本の外交・安全保障の方向性を問う機会でもある。欧州や中東で戦火が広がり、国際秩序が大きく揺らぐ中、日本は日米同盟を基軸に抑止力強化に力を入れてきた。アジアで武力衝突を起こさないためにどうするべきか。巨額の防衛費の財源や人材をどう確保するのか。課題は山積している。

 石破茂首相の外交デビューとなったラオスでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議。11日の東アジア首脳会議(EAS)では、石破氏は中国やロシアの代表者らを前に「世界中のどこであれ、力や威圧による一方的な現状変更の試みを許容してはならない」と強調した。

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 石破氏が今回の自民党総裁選出馬の動機の一つに挙げるのが、ウクライナ戦争など激変する安全保障環境に強い危機感を覚えたことだ。「平穏な日々が一瞬で失われてしまう光景を何度も目にするようになった」「決してテレビの画面の中だけではない。明日アジアで起きてもおかしくない時代を迎えている」。石破氏はこう繰り返す。

 日本周辺における中国や北朝鮮、ロシアの軍事行動の活発化に対応するため、安倍、菅、岸田の歴代自民党政権は日本の防衛力強化に力を入れてきた。安倍政権は15年に集団的自衛権の一部行使を容認する安保関連法を成立させた。ロシアによるウクライナ侵攻後、岸田文雄首相(当時)は台湾有事を念頭に「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と訴え、22年12月改定の国家安全保障戦略は「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面」という認識を示した。岸田政権は日米同盟のさらなる深化とともに、防衛費の対GDP(国内総生産)比2%の大幅増や「敵基地攻撃能力」(反撃能力)保有を決定した。

記事の後半では、宮本雄二元駐中国大使が世界情勢を分析するとともに、国際社会の平和と安定のための日本の役割を説きます。

石破首相、「国家安全保障戦略」の方針強調

 石破氏は首相就任後、この国…

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