欧州旗とアップルのロゴ=2016年9月2日、ロイター

 米アップルは7日、欧州連合(EU)がデジタル市場法(DMA)違反を理由に5億ユーロ(約850億円)の制裁金を科したのは違法だとして、EU司法裁判所の一審にあたる一般裁判所に提訴したと発表した。

 EU行政府の欧州委員会は4月、iPhone(アイフォーン)などにアプリを配信する「アップストア」をめぐるアップルの運用を問題視。アップルがアプリ開発者を制限し、アップストア以外の安価な入手手段を利用者に提供しにくくしたとして、昨年3月に本格運用後、初のDMA違反と認定し、制裁を行った。

 DMAは、圧倒的な規模と資金力を持つ巨大IT企業による市場の独占を防ぐのが狙いで、自社サービスの優遇などを禁じている。

 アップルは、DMAに対応するため、EU域内向けに一部の運用を段階的に変更。アプリ開発者が、外部サイトで独自価格を示せる機能などを導入した。しかし、欧州委はアプリ内から他のアプリストアへの誘導も求めた。アップルはこうしたEUの対応は「外部サイトへの誘導」の定義を一方的に拡大したものだと反発。「法律の定義を根本的に変え、求められる範囲を明らかに逸脱している」と主張している。

 また、外部サイトからダウンロードされたアプリであっても、アップストアを経由した場合には、アプリ事業者からダウンロードの手数料をとるアップルの措置についても、欧州委はDMA違反にあたるとした。

 アップル側は「欧州委は当初、容認していた」と指摘。その後、欧州委が手数料体系を細分化することなどを求めたことは「方針転換」で、「開発者や利用者にとって選択肢が複雑になった」と反論している。

  • アップルらを規制、アプリ市場活性化に一手  前公取委委員長の狙い

共有
Exit mobile version