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中国のサプライヤーと中国での販売がなければ、アップルの価値は半分かそれ以下になってしまうだろう=Chris Gash/ニューヨーク・タイムズ

Could Apple Exist Without Its Ties to China? Probably Not.

 トランプ氏が政界入りする数年前、米アップルとそのパートナー企業は、iPhone(アイフォーン)を生産するための巨大な工場を中国各地に建設した。トランプ氏は最初の大統領選キャンペーンで、支持者にこう約束した。iPhoneなどの製品をアップルに米国内で製造させる、と。

 10年近くが経過した現在も状況はほとんど変わっていない。アップルは、生産活動を米国に移すのではなく、中国での生産の一部をインドやベトナム、タイへと分散させた。米国製はないに等しく、iPhoneの推定80%は依然として中国製とみられる。

 (米国での生産を促す)長年の圧力にもかかわらず、アップルの事業は依然として中国に大きく依存しており、この巨大IT企業は中国なしでは経営が成り立たない。アップルの行動を変えようとするトランプ政権の動きは、時価総額で世界首位に君臨してきた同社にダメージを与えるリスクを伴う(訳注:現時点では3位)。そして、アップルの生産を米国に移転しようとする真剣な試みは、仮にそれが可能だとしても、同社と米政府の双方にとって、膨大な努力を要するものとなるだろう。

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 4月2日にトランプ大統領がいわゆる相互関税を課すと発表した直後の4営業日で、アップルの時価総額は7700億ドル(約110兆円)も失われた。その後、トランプ氏が中国製電子機器への関税を一時的に適用除外としたことで、同社はその一部を回復した。

 アップルは5月1日、2025年1~3月期の利益が前年同期比4.8%増の247億8千万ドル(約3兆6千億円)だったと発表した。アプリやサービス、そして2月に投入した低価格帯の新型iPhoneの堅調な販売が利益を押し上げた。この四半期に売り上げが伸びなかった地域は中国だけだった。

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アップルは現在、テキサス州でAIサーバーの工場建設を進めているそうです。しかし、かつてそのテキサスでMacの組み立てを試みた際には、ネジの調達や労働者の確保にさえ苦労した、とNYTは報じています。

 ニューヨーク・タイムズはこ…

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