取材に応じる公正取引委員会の古谷一之前委員長=2025年6月17日午後、東京都千代田区、東谷晃平撮影

 スマートフォンのアプリやサービスを、今より自由に選んだり作り出したりすることを目指す法律が、12月に全面施行される。「スマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)」だ。アプリストアや支払い方法の「ルール」を握る米アップルと米グーグルの力を制限し、市場の競争促進を図る。なぜ今この法律が必要なのか。立法を主導し、5月に退任した公正取引委員会の古谷一之・前委員長に聞いた。

立法に反発するアップル幹部のインタビューはこちらから

スマホの未来を左右する法律をめぐり、アップルと公取委が互いの主張をぶつけあっています。両者を代表する人物に、主張の核心を聞きました。

 ――なぜスマートフォンに焦点を当てたのですか。

 「今や生活必需品であるスマホだが、アプリやサービスをとりまく市場がアップルとグーグルの2強による寡占状態にあるからだ。デジタルプラットフォーム(PF)のビジネスは先行者利益が大きい特性がある。一定規模の利用者を集めれば、他の追随者を許さない一人勝ちの状況が生じやすく、価格やサービスで競争が起きにくくなる。国民生活や経済活動への影響が大きいスマホアプリについて、他の事業者が公正に取引ができる環境が必要だ」

 ――なぜ新たな規制が必要だったのですか。

 「2年ほどかけた議論で強大な影響力を持つ一部のPFの自主規制に任せているだけでは、不十分だと政府も認識した。独占禁止法の執行には時間がかかる。競争上問題のある行為を類型化し、事前に禁止することでスピーディーに対処できる法律で、独禁法を補完することが必要だと考えた」

 ――新法によってどのような…

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