北海道内の子どもたちは、アトピー性皮膚炎の割合が全国よりも高いことが、北海道教育委員会の調査で分かっている。その原因について、札幌医科大学の野上和剛(かずたか)助教(小児アレルギー疾患)は、日射量の少なさや乾燥といった北海道特有の環境との関係性を指摘する。放置しておくと、炎症を起こした皮膚を通してほかのアレルギー疾患にかかるリスクも高まる。野上助教に詳しく聞いた。
――道教委の2023年度の「公立学校児童等の健康状態に関する調査報告書」などによると、道内の5歳から高校生までの男女すべてで、アトピー性皮膚炎の割合が全国平均の2倍以上となりました。小学校等の割合は8.10%。原因をどう考えていますか。
「北海道の環境風土が間接的に結びついて、道内の子どもにアレルギー疾患が多いと推測できる。具体的な一つは、ビタミンD不足の可能性だ。北海道では特に冬の間、屋内での生活が長くなるため、日光にあたる時間が少なくなり、体内でビタミンDが生成されにくい。また、ビタミンDの生成には、太陽の照射角度が重要となる。緯度の高い北海道では、低緯度の地域よりもより多くの紫外線を浴びないとビタミンDが生成されない。ビタミンD値が低いと、アレルギーの有病率が高くなると考えられている」
記事後半では、アトピー性皮膚炎の治療の現状についても語ってもらっています。
「道内の子どもにアトピー性…