表情が変化する前の、人間の顔とアバターの顔=情報通信研究機構提供

 人間とアニメ調のアバター(分身)の顔が交互に画面に映り、金額と確率が表示される。ギャンブルをしますか、しませんか――。アバター相手の方が人はリスクをとりやすいという研究結果を情報通信研究機構(NICT)が発表した。相手が人間かアバターかによって脳の働きに違いが生じ、意思決定を左右していることもわかった。

 近年はオンライン会議や接客など、アバターを使ったコミュニケーションが広がっている。だが、アバターを相手にした時の心の動きや意思決定が、人間相手と比べてどう変わるかは分かっていなかった。NICTのチームは、男女79人に実験に参加してもらい検証した。

 実験では参加者に、報酬は多いが獲得が不確実な高リスクの選択肢と、報酬は少ないが獲得が確実な低リスクの選択肢を画面上に示し、どちらかを選んでもらった。画面には人間かアバターの顔も映しており、リスクの高い選択肢で報酬を獲得すれば称賛する表情、報酬を獲得できなければ軽蔑する表情に変わる。低リスクを選択した場合はそのまま次の試行に進む。これを繰り返し、約10回ごとに人間の顔とアバターの顔を切り替えた。

画面にアバターの顔が映った状態で、100%の確率で100円がもらえる選択肢と、33%の確率で300円がもらえる選択肢が示され、どちらかを選ぶ実験=情報通信研究機構提供

 その結果、人間よりもアバターに見られている時のほうが、参加者はリスクの高い選択をする傾向が出た。統計的に解析すると、画面の相手がどんな表情を返すかわからないあいまいさが参加者の行動の違いを生み出していた。

 さらに、脳の血流変化をとら…

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