アフガニスタンの国技ブズカシの試合中に、動物の胴体に似せた「ボール」を取り合う選手たち=2024年12月5日、首都カブール、石原孝撮影

 アフガニスタンに、選手も観客も男だらけの「ブズカシ」と呼ばれる国技がある。約800年もの歴史があるとされ、馬に乗った選手たちが動物の胴体をボールに見立てて得点を競い合う姿が人気を集めてきた。そんな競技にも近年、変化の波が押し寄せている。

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 12月上旬、首都カブールの競技場に体格の良い11チームの選手たちが集結した。試合前の緊張感に包まれるなか、ナジェブラ選手(37)は「20年以上にわたって競技を続けてきた。毎日のように訓練に励んできた成果を見せたい」と意気込んだ。

 開会式の後、選手を乗せた馬が一斉に走り出すと、土ぼこりが舞い上がった。一瞬の静寂に包まれた後、密集から抜け出した馬が勢いよく走り出して得点をあげ、観客は大きな歓声をあげた。

 アフガニスタンのブズカシ協会によると、大会は1チーム12人制で、二つのチームが6人対6人で対戦。地面に置かれた「ボール」を拾い上げ、競技場内に敷かれた円の中に投げ込んだ得点を競い合う。

【動画】アフガニスタンの首都カブールで行われた国技ブズカシの大会=石原孝撮影

 起源は諸説あるが、騎馬遊牧国家のモンゴル帝国を建国したチンギス・ハーン(1162年ごろ~1227年)の影響で誕生したとも言われる。

 国内では北部を中心にいまも人気を誇り、16チームが正式に登録。他にも計約180チームが全国各地にあり、中にはキルギスやタジキスタンからの外国人助っ人選手がプレーする強豪チームもある。

 男性の勇ましさや競技としての激しさが売りで、人も馬も一カ所に密集してぶつかり合う。試合中に落馬したり、負傷したりすることも少なくない。

賞金は5万ドル、現地ならではの賞品も

 選手はもちろん、スタンドに…

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