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応援する林田和弥選手=2025年3月21日午後2時59分、阪神甲子園球場、恒川隼撮影

(21日、第97回選抜高校野球大会1回戦 智弁和歌山6―0千葉黎明)

 アルプスではBチーム主将を務める林田和弥さん(3年)が、応援団の最前列で両手のメガホンを力強く振り、人一倍大きな声で応援していた。

 多くの選手が「野球部に貢献する陰の功労者」として名前を挙げる。普段からバッティングピッチャーやノッカーなどを積極的に務める。二塁手の篠原翔空選手(同)は「いつも夜遅くまで練習に付き合ってくれる」。

 林田選手は「自分がプレーしたい気持ちもあるが、チームが勝てることが一番。どんな形でもチームに貢献できることがうれしい」という。ベンチ入りできず悔しい気持ちはあるが「頑張っている姿を絶対に見守ってくれているはず」。

 胸にあるのは今は亡き父の敏和さんだ。「何があっても一生懸命野球を頑張る」と約束した。

 幼い頃、敏和さんとその叔父の3人でよく野球観戦に行ったのが野球との出会い。小学生の頃、打撃練習のトス上げをしてくれた父は、病気がちで入退院を繰り返し、林田さんが小学3年生の時、45歳で帰らぬ人となった。

 自由にやりたいことをやらせてくれる優しい父だった。今でも父を思うだけで心が落ち着くという。

 この日、チームは6―0で敗れた。林田さんは「一人ひとりが全力を出し切った結果。どこかで見ている父に支えてもらいながら、夏は自分がメンバーの一員になって甲子園に戻ってきたい」。

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