アンコンシャス・バイアスについて授業を受ける日本女子大付属豊明小学校の児童ら=2024年10月10日、東京都文京区目白台1丁目、本間ほのみ撮影

 無意識の思い込みである「アンコンシャス・バイアス」について学ぶ授業が、小中高校で広がっている。男子校とコラボして授業をする女子大や、開発した教材を学校に提供する企業も。来年度には中学生の教科書にも登場する。学校現場の取り組みを紹介する。(本間ほのみ、編集委員・宮坂麻子)

めがねをかけている人は頭が良い?

 「これまでの経験で思い込んでしまうことがあります。皆さんも考えてみてください」。10月中旬、無意識の思い込みについてセミナーや調査をしている一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所の太田博子さん(47)が、日本女子大学付属豊明小学校(東京都文京区)の5年生108人に問いかけた。

 児童たちは、「めがねをかけている人は頭が良い」「青は男の子の色、赤が女の子の色」。太田さんが「思い込みに気づかないと、どんな問題が起きますか」と尋ねると、児童たちは「差別になる」「相手を悲しませてしまう」。太田さんは、性別や職業による偏見、自分自身にも「できない」との思い込みがあることなどを説明した。

 「子どもたちには物事を決めつけず、新しい視点を知ってほしい」と学年主任の稲子智幸教諭(51)が太田さんに授業を依頼した。児童の一人は「算数や理科が苦手だし、男の先生が多いから、医者にはなれないと思ってた。でも、なれるかも。頑張ろうと思えた」。

小中70校に授業、求められる理由は

 同研究所では、アンコンシャス・バイアスを学び、子どもたちがより可能性を広げることなどを目指して、2021年から北海道や鹿児島などの小中学校約70校で出張授業をしてきた。

 授業が求められる背景を同研…

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