米国館(右手前)と並んで立つイスラエル館は白いモダニズム建築

 開催中の大阪・関西万博でも分かる通り、万博では参加国の多くがパビリオンを建て、自国の社会や文化を紹介する。そして半年の会期が終われば、ほとんどが取り壊されてしまう。

 1895年にイタリアで始まり、世界最古の国際展・芸術祭とされるベネチア・ビエンナーレは、主会場の公園に各国パビリオンが立ち並び、アート版の万博ともいえる。ただし、隔年開催のビエンナーレの主会場は毎回同じで、パビリオンはほとんどが恒久的だ。

 この、各国館を主舞台に国別の展示をするのは、他の芸術祭にはほとんど見られない特徴だ。1980年からは国際美術展がない年に国際建築展を開催するようになり、近年では毎年交互に開かれている。しかし表現も作者も国境を超える時代に、国別展示は時代遅れだとも言われている。

 今年は建築展の番で、先日取材で訪れると、これまでユニークな展示を見せてきた、1914年建設で様式的なロシア館と52年建設のモダニズム建築であるイスラエル館は展示をしていない。

 両国がそれぞれ抱える紛争の…

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