香川と岡山の島などを舞台とした3年に1度の現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」が開かれている。瀬戸内の文化や暮らし、景観などに刺激を受けて制作された独創的な作品を紹介する。
ホンマタカシ「UNHCR×瀬戸内国際芸術祭『SONGS―ものが語る難民の声』」
外壁が鏡張りで宇宙船のようなトレーラーハウス。中に入ると、壁に貼られた「1億2260万人」という数字が目に入る。2024年6月時点の難民の数だという。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と瀬戸芸実行委員会の共催企画。建築家の佐藤研吾さんの制作したトレーラーハウス内には、難民の映像がディスプレーに映し出されている。
入り口付近で無料配布されている「号外」と印字されたタブロイド紙では、複数の難民の写真と記事を読むことができる。日本、バングラデシュ、コロンビアに避難してきた難民の姿を写真家のホンマタカシさんがカメラに収めた。昨年5月から今年2月までで、計34人を撮影したという。
ホンマさんは難民が避難時に持ってきた「大切なもの」も撮影。亡くなった母の使っていたペン、義理の母がくれたジャケット、祖父の腕時計。思い出のエピソードも号外につづられている。
ホンマさんは「少しでも難民の人たちの境遇に気持ちを向けてほしい」とコメントした。
高松港(高松市)【アクセス】
JR高松駅から歩いて5分。島行きの船の券売所の隣にある。