パレスチナ自治区ガザ北部ガザ市で2025年7月25日、鍋の前に座る子どもたち=ロイター

 パレスチナ自治区ガザで飢餓などの人道危機が深まるなか、イスラエル当局は25日、食料などの支援物資のガザへの空中投下を許可すると明らかにした。イスラエルメディアが報じた。栄養失調による子どもらの死亡が急増し、イスラエルと米国が支援する財団の配給所に集まる住民へのイスラエル軍などの銃撃が続いていることに国際的な非難が高まっていた。

 「タイムズ・オブ・イスラエル」によると、ヨルダンとアラブ首長国連邦(UAE)が近く、支援物資の空中投下を実施するという。英BBCによると、英国も協力する姿勢を示している。

 ただ、国連やNGOなどは、空中投下では物資の量が限られ、陸路での搬入の方が効果的だと指摘する。空中投下は昨年にも米国やヨルダンなどが実施したが、物資が住民に命中するなどし、死亡する事例が相次いだ。

 ガザ保健省は25日、過去24時間の間に、栄養失調などによって9人が死亡したと発表した。同省によると、栄養失調などによる死者の数はこれまでに子ども83人を含む計122人に上るという。だが、イスラエル当局は「ガザで飢餓は起きていない」とする立場を崩していない。

 英独仏3カ国の首脳は25日、ガザの人道危機をめぐり、イスラエル軍によるガザへの支援物資の搬入制限は「容認できない」とする共同声明を発表。イスラエルに対して、国連やNGOによる物資の搬入制限を解除し、国際人道法上の義務を順守するよう求めた。

共有
Exit mobile version