パレスチナ自治区ガザで攻撃を続けるイスラエルの首相府は8日、ガザ北部にある最大都市ガザ市を制圧する計画が、安全保障関連の閣議で承認されたと発表した。ネタニヤフ首相は軍の支配をガザ全域に広げる意向も明言し、作戦の拡大に向けた動きを強めている。飢餓など人道危機が極まる中、戦闘がさらに長期化する恐れがある。
首相府の発表によると、7日夜から8日未明にかけて開かれた閣議で、「戦争終結」のための条件として①イスラム組織ハマスの武装解除②人質全員の奪還③ガザの非武装化④イスラエルによるガザの治安管理⑤ハマスでもパレスチナ自治政府でもない文民政府の樹立――を目指す方針が承認された。軍はガザの民間人への人道支援に取り組みつつ、ガザ市の制圧に向けて準備を進めるとしている。
米ニュースサイトのアクシオスは、閣議が10時間超に及び、ガザ市の制圧はガザの全域支配を視野に入れた作戦の一部だと伝えた。軍はガザ市と周辺一帯に住む約100万人の住民に対し、10月7日までにガザ中部などに避難を求めたうえで、ガザ市で地上作戦を実行するという。
作戦には数カ月かかるとされ、地上での戦闘拡大による民間人の死者の増加や生存中とされる約20人の人質に危険がおよぶ事態が懸念されている。
軍は現在、ガザの約75%を支配しているが、ネタニヤフ氏は閣議の前、米FOXニュースのインタビューに、軍の支配をガザ全域に拡大する意向を明らかにした。一方、イスラエルがガザを長期的に統治する考えは否定し、「適切な統治を行うアラブ勢力に移譲したい」と述べた。
■軍トップは反対…