国連安全保障理事会に出席したイスラエルのダノン国連大使=2025年7月23日、米ニューヨーク、国連提供

 イスラエルのダノン国連大使は23日、米ニューヨークの国連本部であった安全保障理事会に出席し、国連の人道支援機関、人道問題調整事務所(OCHA)職員に対するビザ発給を制限すると明らかにした。パレスチナ自治区ガザに関する活動をめぐり「中立機関ではなくなった」ことが理由だと主張した。

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 基本的にビザは1カ月単位での発給とし、「主要な職員」のビザは更新を拒否するとした。パレスチナ自治区を担当する事務所の所長については「今月29日までに(イスラエルを)出国しなければならない」と述べた。

 ダノン氏は、OCHAがイスラム組織ハマス側のデータに依拠してガザの民間人死傷者を発表し「独立した確認作業をしていない」と主張。イスラエルが行う人道支援を正当に評価していないなどとも訴えた。「イスラエルに対する終わりのない中傷キャンペーンはもう十分だ」と述べた。

 国連のデュジャリック報道官は定例会見で「我々はOCHAの職業倫理と中立性について大きな自信を持っている。(ビザの制限は)飢餓など直面する人々への支援のさらなる障壁になる」と批判した。

ガザ情勢めぐり国連機関の活動制約の動き

 OCHAは、災害や紛争などの現場で人道支援が効果的に行われるよう、ニーズの把握や関係機関との調整などを担う。ガザでの人道状況について日々発信を続けている。ウェブサイトによると、イスラエルが一方的に併合した東エルサレムや、ガザなどに事務所を置いている。

 イスラエルは今年に入り、同国内で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止。ガザへの人道支援の搬入も制限するなどし、ガザ情勢をめぐって国連機関の活動を制約しようとする動きが目立っている。

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