イスラエルによるイランへの攻撃を受け、国連の安全保障理事会は13日(日本時間14日)、緊急会合を開いた。開催中にもイランによる報復攻撃が報じられるなか、理事国からは懸念や自制を求める声が相次いだ。
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IAEAは濃縮施設での「汚染」を報告
イランのイラバニ国連大使は13日のイスラエルからの攻撃で軍高官を含む78人が死亡、320人以上が負傷したことを明らかにし、「大多数は女性や子どもを含む民間人だ」と主張した。「平和的な核施設や、軍事施設、市民のインフラや住宅街が狙われた」とも訴え、「明らかな国家によるテロ攻撃であり、目に余る国際法違反だ」と述べた。
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長もオンラインで出席し、イスラエルの攻撃を受けたナタンズのウラン濃縮施設について、地上部分などの一部設備が破壊されたと報告した。施設外の放射能レベルに変化はないが、施設内では放射線と化学物質の汚染が起きていると指摘した。ただ「適切な放射線防護措置をとれば対応可能」なものだという。
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米国「イスラエルに自衛権ある」
英国は「イスラエルのイランへの攻撃と、イランによる報復の軍事行動に、深い懸念を抱いている。さらなる激化を防ぐのが最優先だ」と述べた。中国やパキスタンは、イスラエルを非難する考えを表明した。
イスラエルを支持してきた米国は、イスラエルが今回の攻撃について「自衛に必要だった」と説明しているとした上で、「どの主権国家も自衛する権利を持ち、イスラエルも例外ではない」と述べた。
一方で、今回の攻撃には関与していないと強調。「イランが核兵器を持ったり、中東の安定への脅威となったりしないよう今後も外交的解決を模索する」と述べ、イランに対し交渉に応じるよう求めた。
イスラエル、報復措置でけが人と主張
イスラエルは「(同国が)破壊されるのを防ぐための行動をとった」と説明した。イランによる報復措置について、軍事施設以外が攻撃対象になっており、既に10人以上がけがをし、2人が重体だと主張した。