イスラエル南部スデロットで2025年5月18日、ネタニヤフ首相やベングビール国家安全保障相、スモトリッチ財務相の写真とともに「彼らの戦争を拒否する」との文字が書かれた横断幕を掲げる左派のデモ参加者ら=ロイター

 英国とカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーの5カ国は10日、過激な暴力やパレスチナの人びとの深刻な人権侵害を扇動したとして、イスラエルの極右閣僚2人に対し、入国や金融取引を禁じる制裁を科すとする共同声明を発表した。これに対し、イスラエルを擁護する米国は制裁を非難し、撤回を要求した。

 ガザにおける人道危機が深刻化するなか、英国はイスラエルとの貿易交渉を打ち切るなど圧力を強めており、今回の制裁もその一環となる。

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 制裁対象は、ベングビール国家安全保障相とスモトリッチ財務相兼国防省付相。共同声明は「ヨルダン川西岸におけるパレスチナ人に対する暴力の扇動」を制裁の理由とし、「入植者による暴力は、パレスチナの民間人の死亡や、コミュニティー全体の排除につながった」としている。

 また、2人について「イスラエル自身の安全保障や世界における立ち位置をむしばんでいる」と批判。「本日の措置は西岸に焦点を当てているが、ガザの惨状と別個に考えることはできない」とも指摘している。

 2人はこれまで、ガザの支配やガザへの入植、人びとのガザ外への強制移住に言及。これらの行為は国際法違反にあたる可能性があり、ラミー英外相はこうした点も公に非難してきた。

 一方、イスラエルのサール外相は制裁について、「選挙で選ばれた代表かつ政府のメンバーがこのような措置にさらされるのは、とんでもないことだ」と会見で述べた。「受け入れられない決定」への対抗措置は来週決めるという。

 米国も制裁に反発した。ルビオ国務長官は「制裁を非難する」と題した声明で、制裁は「停戦の実現や全人質の解放、戦争終結に向けた米国主導の努力を前進させるものではない」と主張した。ガザの人々が平和に暮らせないのは「筆舌に尽くしがたい残虐行為」を犯したイスラム組織ハマスのせいだと強調し、「友好国には、真の敵が誰か忘れないよう改めて促す。米国は制裁措置の撤回を求め、イスラエルとともにあり続ける」と訴えた。

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