パレスチナ自治区ガザでの戦闘が、中東全体のさらなる緊張の激化につながるのではないか。そんな懸念が広がっています。
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが、イスラエルへの本格的な攻撃に踏み切りました。7月末にイスラエルが司令官を殺害した報復だと説明しています。事前に動きを察知したイスラエル軍はロケットの発射装置などを空爆し、本格的な「交戦」に発展しました。ヒズボラの狙いは何だったのか。彼らと連携して攻撃を仕掛けるとささやかれていたイランは何を考えているのか。
地域情勢に詳しいパレスチナのビルゼイト大学の講師ムハンマド・ハラサさんに聞きました。
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――ヒズボラの狙いは何でしょうか。
ヒズボラの立場から見れば、攻撃は「避けられない」ものでした。この攻撃は、ヒズボラが事前に明言した通り、イスラエルが、司令官のフアド・シュクル氏を殺害したことに対する報復です。
シュクル氏は、最高指導者ナスララ師の側近で、ヒズボラの創立メンバーの一人。イスラエルはこれまでにもヒズボラの幹部を殺害してきましたが、シュクル氏は地位がより高く、軍事作戦を立案する責任者でもありました。ヒズボラにとって、彼の殺害は「(許容できる)一線」を越えるものだったといえます。
■ヒズボラにとって、「理想の…