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イスラエル国内で取材に応じる25歳の予備役兵の男性。ガザでの経験の詳細を周囲に話すことは少ない。理由は「はっきりはわからない」が、「人と話したいテーマではない」という=2025年5月9日、高久潤撮影

 イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの大規模な攻撃を続けるなか、予備役兵の間で「戦争疲れ」が広がっている。男女とも徴兵制をとる同国ではほとんどの市民が軍務経験を持ち、有事の際は予備役が招集されるが、応じない人が増えている。世論調査では7割が人質解放を優先し、戦闘終結を求めているが、ネタニヤフ首相は軍事作戦を拡大させている。

 人口1千万人弱のイスラエルでは、約17万人の正規軍兵士のほか、普段は別の仕事に就いている予備役の兵士が約46万人に上る。2023年10月に始まったガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘が始まると、イスラエル軍は約30万人を招集。その後も追加招集を繰り返している。

 だが、複数の地元メディアによると、今春以降、招集に応じない予備役兵が増えている。軍のデータをもとにした報道によれば、戦闘開始直後は、軍から招集を受けなくても自ら軍への参加を志願する人たちが多く、招集の予定人数の1.3倍の人が軍に加わった。

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 だが、今年3月下旬時点では、招集された予備役のうち約2割が応じなかった。地上部隊の隊員に限れば、約4割が応じていないとも報じられた。「一つの部隊が消えた」と評するメディアもあるほどだ。招集を拒否すれば罰則もあるが、理由をつけて回避しているという。

 ネタニヤフ政権は5月4日、ガザでの軍事作戦を拡大する計画を承認し、軍は数万人の予備役の招集を開始したが、応じない人が増えているという。

 従軍経験のある男性2人が、匿名を条件に朝日新聞の取材に実情を語った。

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イスラエル中部で2025年4月27日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘で死亡した兵士の葬儀で故人をしのび抱き合うイスラエル軍の兵士=AP

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