イタリア北東部ビチェンツァの地方裁判所で判決を言い渡す裁判長(中央)=2025年6月26日、宋光祐撮影

 イタリア北東部ベネト州で三菱商事の現地法人が工場から化学物質のPFAS(ピーファス)を流出させて広範囲に及ぶ地下水や河川の汚染を引き起こしたとして、同州ビチェンツァの地方裁判所は26日、問題の発生当時に現地法人の取締役などを務めていた日本人3人含む計11人に拘禁刑2年8カ月から17年6カ月などの有罪判決を言い渡した。

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 この裁判では4人の日本人が起訴され、裁判所はうち2人を拘禁刑16年、1人を同11年とした。残る1人は無罪とした。

 裁判所は水質汚染に対する三菱商事の責任も認め、公判に被害者として参加した市民ら個人やベネト州、工場のあった自治体などへの損害賠償を命じた。さらに、有罪判決を受けた被告全員に対して、イタリア環境省に約5700万ユーロ(約96億円)を賠償することも命じた。

 今回の裁判をめぐっては、ベネト州当局が2013年、州中部の自治体で繊維業向けなどのPFASを製造する三菱商事の現地法人「ミテニ」の工場をPFASの流出源と特定。州当局の推計によると州内3県の計35万人が汚染された水道水や地下水の影響を受けたとされ、その後の調査でPFASの血中濃度が基準値を大幅に上回る住民が相次ぐなど大きな問題になった。

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