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米野球殿堂の式典でスピーチをするイチロー氏=AFP時事

 大リーグ・マリナーズなど3球団でメジャー通算3089安打を放ち、アジア選手初の米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(51=本名・鈴木一朗)が27日(日本時間28日)、ニューヨーク州クーパーズタウンで行われた表彰式典に臨んだ。

 恒例のスピーチで感謝を伝えたのはチームメートや、妻の弓子さん、そして、日本プロ野球界から大リーグの門をたたいたレジェンドだった。

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 「野茂さん、ありがとうございました」

 イチロー氏の約20分間の英語によるスピーチ。唯一、日本語を使った箇所があった。日本人大リーガーのパイオニア、野茂英雄氏(56)への感謝の言葉だ。

 野茂氏は1995年にドジャースに入団。1年目に13勝をマークし、最多奪三振のタイトルを獲得した。当時オリックスに所属していたイチロー氏にとっても「歴史的な出来事」だったという。

 「彼の成功は私にも大きな勇気を与えてくれました」。日本で大リーグがテレビ中継されるようになったことなどを挙げながら、「想像していなかった世界に行って、自分を試すという考えが選択肢になりました」。

 海を渡ったイチロー氏は最多安打記録の更新や通算3000安打を達成。日本人野手として成功をおさめた。その後、松井秀喜氏(51)や大谷翔平(31)らが後を追い、日本人選手の評価をさらに高めた。

 イチロー氏の殿堂入りに合わせて始まった米野球殿堂博物館内の「日米野球展」には、多くの人が足を運んでいた。米国人が日本野球界の歴史を食い入るように見る光景は、30年前には想像できなかったことだ。

 イチロー氏は殿堂入りした5人のスピーチで、大トリを務めた。わき起こる約3万人の「ICHIRO」コール。この日も歴史的な出来事として後世に語り継がれていく。

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