イスラエル中部で2024年4月14日、イランから発射されたミサイルを迎撃するために、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」が作動した=AP

 イランは14日、自国大使館が攻撃されたことをめぐり、イスラエルに対してミサイルやドローン(無人機)による報復攻撃を行ったと発表した。国営通信が伝えた。イスラエル軍は攻撃の「99%」を迎撃したとしている。死者は確認されていない。イランからイスラエルへの直接攻撃は初めてとみられ、イスラエルの出方次第では、中東地域が急激に不安定化する恐れがある。

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 イスラエル軍によると、攻撃があったのは13日夜から14日未明。ハガリ報道官は14日朝、イランが発射した計300以上のミサイルやドローンのうち、99%を戦闘機や防空システムで迎撃したと強調した。地元メディアによると、南東部アラド近郊で7歳の女の子が重傷を負った。死者の情報は入っていない。

 軍の説明では、イランから発射されたのはドローン約170機、弾道ミサイル120発以上、巡航ミサイル30発以上。迎撃には「パートナー国」も協力したといい、ハガリ氏は「非常に重要な戦略的達成だ」と語った。

 弾道ミサイルの一部はイスラエル南部のネバティム空軍基地に着弾したが、被害は軽微という。一方、イランの攻撃に合わせ、親イラン武装勢力が拠点とするイラクやイエメン、レバノンからも飛翔(ひしょう)体が発射されたと説明した。

 イランの精鋭部隊・革命防衛隊は攻撃開始直後に声明を発表。イスラエルへの報復だとして「数十のドローンとミサイルを発射した」と明らかにした。イラン外務省は声明で、「(シリアのイラン大使館空爆に対して)国連憲章に規定された正当な防衛の権利を行使した」と主張した。

 今回の報復攻撃をめぐり、国際社会からはイランへの非難が相次いだ。

 バイデン米大統領は米時間の13日夜、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で協議し、「最も強い言葉で非難する」とする声明を出した。オースティン国防長官の声明によると、中東に展開する米軍が、イスラエルを狙って発射されたドローンやミサイルによる計数十の攻撃を防いだという。バイデン氏は14日に主要7カ国(G7)首脳と緊急協議を行う予定だ。

 ロイター通信によると、国連安全保障理事会はイスラエルの要請を受け、14日に会合を開く。グテーレス事務総長は14日、声明で「深刻なエスカレーションを強く非難する」と述べ、関係国に対して最大限の自制を求めた。岸田文雄首相も14日、イランの攻撃を「強く非難する」と報道陣に語った。

 一方、イラン側からは今回の…

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